ポジティブ認知がモチベーションを高める

ここではストレッサーや逆境をものともしないポジティブな状況認知のポイントを紹介しましょう。

１．加点法―失敗でなく成功を数える

新規開拓、飛び込み営業などでは、片っ端から門前払いされてもしぶとく粘る姿勢が求められます。

そんな状況でモチベーションを維持して粘り強く攻めていける人の特徴として、加点法的な発想があります。

「また断られた」「これで５件連続で門前払いだ」のように失敗を数えるのが減点法です。

反対に、「ちゃんと説明を聴いてもらえた」「３人が聴いてくれた」のように成功を数えるのが加点法です。

門前払いの比率が同じ８割でも、減点法の認知のクセをもっているか加点法の認知のクセをもっているかでモチベーションが大きく違ってきます。

８割の門前払いの件数に目を向ければモチベーションがどんどん下がってしまいますが、わずか２割でも話を聴いてくれた件数に目を向ければモチベーションを維持しやすくなります。

モチベーションの高い組織にするには、日本にありがちな減点法的発想を脱し、加点法的な発想を組織に根付かせることが必要です。

２．結果よりチャレンジにこだわる

絶え間ない技術革新によって人々のライフスタイルも世の中の仕事の形態も目まぐるしく変化していく変革の時代には、現状維持という姿勢で生き残ることはできません。

そこで求められるのが思い切ってチャレンジしていく姿勢です。

ところが、結果にこだわる人は、失敗することを恐れるあまり慎重になりすぎて、チャレンジするのを躊躇しがちとなります。

それに対して、果敢に積極的にチャレンジできる人は、結果にこだわるよりも、チャレンジしないことで万が一でもうまくいくチャンスを失うことを怖れます。

結果にこだわるよりチャレンジにこだわる方がモチベーションを高く維持できるということはわかっても、これは長年の人生経験で培われてきた個性だからどうにもならないと考える人が多いようです。

たしかにそれはあります。

でも、もう一つの要因として職場の風土があります。

失敗を責める組織風土があって、失敗しないように無難にやっていこうといった雰囲気の職場では、もともとチャレンジに消極的な人ばかりでなく積極的な人までもが思い切ったチャレンジはしにくくなります。

一方、チャレンジする姿勢を高く評価する組織風土があって、結果を怖れずどんどんチャレンジしていこうといった雰囲気の職場では、もともと積極的な人はもちろんのこと消極的な人までも思い切ったチャレンジがしやすくなります。

そうした心理法則を踏まえて、結果につながらなくてもチャレンジした積極性を評価しよう、たとえ失敗してもそのチャレンジ精神を評価しようという企業もあります。

とくに技術開発には失敗がつきものであるため、技術職に対してチャレンジを奨励するため失敗への罰則を廃したり、むしろ失敗賞のようなものを設定したりする企業も出てきていますが、技術職に限らず、営業職や人事職などあらゆる職種で失敗を怖れずチャレンジできるような組織風土を醸成することがモチベーション向上に資するはずです。

そのためにも、失敗を怖れずにすむような制度を工夫することも必要でしょう。

３．結果よりプロセスに目を向ける

仕事では、うまくいくこともあれば、どんなに頑張っても思うような成果が出ないこともあります。

これまで以上に魅力的かつ完成度の高いプレゼンができたはずなのに、条件面で負けたのか、他社に持って行かれるというようなこともあります。

自分としてはノルマ以上の成果が出せたと思うのに、突出した同僚がいるせいで人事評価ではなかなか報われないというようなこともあります。

そんなときも腐らずに高いモチベーションを維持して仕事に集中できる人の特徴として、結果よりプロセスに目を向けるという認知のクセがあります。

１．自分自身の成長に目を向ける
望んだ結果が得られなくても、そのプロセスで知識が増えたり、スキルが高まったり、仕事のやり方がわかってきたりと、自分自身が成長しているはずなので、そこに目を向けることで、結果に関係なくモチベーションを高く維持することができます。

２．取り組んでいる最中の充実感に目を向ける
思わしくない結果が出ればガックリきますが、それでも必死に取り組んでいたときの充実感が否定されるわけではなく、その充実感を思い出すことで、結果に関係なくモチベーションを高く維持することができます。

３．力一杯打ち込んだことによる爽快感、やり遂げた感じに目を向ける
力一杯打ち込んだ後には、やるだけのことはやったという爽快感があり、そのやり遂げた感じに目を向けることで、結果に関係なくモチベーションを高く維持することができます。

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