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お腹を動かす呼吸には二種類ある [コミュニケーション]

坐禅の呼吸法のことを、「腹式呼吸法」とよく表現します。
これがじつは混乱と誤解の原因です。

腹式呼吸というのは、胸式呼吸と対をなす概念で、お腹を大きく動かす呼吸と一般に考えられます。
ところが、お腹を動かす呼吸には、二種類あります。
横隔膜呼吸と腹筋呼吸ですが、両者はまったく反対の動きをします。
そのことを丁寧に説明します。

坐禅の呼吸法と睡眠時の呼吸の比較
坐禅の呼吸法は腹筋を使った呼吸で、呼気からはじまる。 吐いて、吐いて、吐き切ると、フイゴが膨らむように呼気が起こる。 睡眠時の呼吸は横隔膜を使い、吸気からはじまる。 呼気は横隔膜の収縮が止むと自然に起こり、腹筋の収縮を伴わない。

大切なポイントは、横隔膜も腹筋も収縮していない状態をまず理解することです。
このとき、肺には約2400mlの呼吸ガスがたまっています。
これを機能的残気量(FRC)レベルと呼びますが、名前の意味は忘れてください。
このFRCレベルは呼吸をしていない時点と理解してください。
ここから吸気あるいは呼気がはじまります。

もし、横隔膜が収縮すると、内臓が圧迫されてお腹が膨らみ、肺に空気が入ります。 これが呼気です。

横隔膜は内臓と肺とのあいだにドーム状に張っている薄い筋肉です。
横隔膜の収縮が止むと、とくに腹筋を収縮させないでも、自然にもとのFRCレベルに戻ります。
これが自然な呼気です。
腹筋を使わない呼気というのは、バネが引き伸ばされて、もとの位置に戻る原理で発生します。
以上が、横隔膜呼吸です。

逆に、FRCレベルから腹筋を「意識的に」収縮させますと、今度は、お腹が締まり、内臓が圧迫されます。
すると、横隔膜ドームが上げられて、肺を圧縮し、肺から空気を押し出します。
これが「意識的な」呼気です。

自然な呼気と「意識的な」呼気では、バネを引っ張るのではなく、圧縮する方向に動かすことになります。
腹筋の収縮を止める(バネの圧縮を止める)と、自然に、フイゴが膨らむように、肺に空気入ります。
お腹ももとの位置に自然に膨らみます。
これは吐き切った後の呼気ということになります。
この場合、横隔膜の収縮は必ずしも必要ないのですが、一生涯働き続ける筋肉のことですから、フイゴが膨らむときでも、ある程度収縮します。
横隔膜ほど律義者の筋はありません。

以上が、腹筋呼吸です。
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